睡眠文化研究所

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フォーラム

第6回テーマ「眠り、過去から未来へ」ヒトの眠りはどこへ向かうのか?

1999年3月25日
開催地:浜離宮朝日ホール


パネルディスカッション

 高田 公理(武庫川女子大学・生活環境学部教授) プロフィール

 吉田 集而(国立民族学博物館民族文化研究部 教授) プロフィール

 藤本 憲一(武庫川女子大学助教授) プロフィール

 鳥居 鎮夫(東邦大学名誉教授) プロフィール

 高田

藤本先生の講演のなかで、女子大生の睡眠時間が短い、午前零時前には寝ないということが印象に残りました。しかし、彼女たちはちゃんと昼間に教室で寝ているんですね。

 吉田

それは脳の一部が働いている、いわゆるレム睡眠です。一見すると眠っているように見えても、脳はアイドリングしているんです。ほ乳類はだいたいそういうことをやっている。あまり深く眠ってしまうと危険なんです。

 藤本

彼女たちの名誉のためにひと言加えると、教師として、教室で学生が眠っている姿を目撃するのは悲しいんですが、それは置くとして、情報メディアに囲まれた若い世代の一般的傾向と見ることができそうです。企業社会の中でも、フリーな生活スタイルをもつ情報クリエーターの世界が、社会的にとても大きな力をもってきているという現実もあります。

 高田

女子大生の教室での眠りは、たしかにレム睡眠です。眠っていながら講義を聞いているんですね。いま女子大生は、同時に七人の話が聞けたといわれる聖徳太子にはおよびませんが、二つくらいは平気で同時に行っています。


 高田

会場の皆さんから質問を受けていますが、一つは、講演・会議などで睡魔から逃れる方法、もう一つが一週間単位での寝だめがきくかどうかと。

 鳥居

自分に興味がない話を聞くと眠くなるのは、ムダに脳細胞を傷めないような体の仕組みになっているからです。だからトイレに行くなど体を動かすのがいい方法です。また、一週間単位の睡眠サイクルが可能かどうかは科学的に証明されてはいませんが、私たちの体の中には一週間周期の時計があるといわれています。免疫ができるのが一週間であるように。わたし個人としては、このサイクルでの寝だめ・睡眠不足の補充はありうると考えています。

 吉田

民族によっては、一週間どころか半年サイクルの寝だめの例もあります。夏に夜がなくなる高緯度のイヌイットは、夏と冬の半年サイクルで暮らし、夏の寝不足を冬に補っています。


 鳥居

環境や個性によって睡眠パターンは異なります。そのもっとも極端な例は宇宙飛行士でしょう。90分で地球を一周、つまり90分で昼夜が変わっている。そのような地球では考えられない環境の中で、12時間働いて睡眠を含む12時間の休息を取っている。環境によって睡眠・覚せいのサイクルを工夫しています。また、個人の例ではノーベル賞の湯川博士のエピソードが有名です。湯川博士は、いつも枕もとに手帳を置き、ウトウト状態で閃いたアイデアをメモしたそうです。独創的な研究をする人には半覚せいがいいかもしれません。

 藤本

女子大生はイヌイットや宇宙飛行士とは違って、パソコンや携帯電話など情報メディアという文化環境によって新しい睡眠パターンを生み出した新部族です。もっとも就職活動が始まると、一斉に昼型に変化するのが特徴ですが……。

 高田

イヌイットの例のように自然環境が睡眠に影響をあたえる話、パソコンなど新しい文化が新しい睡眠パターンを生む話などが出てきました。これまで睡眠については医学がずっとリードして研究を行い、貴重なデータと事実を発見してきました。しかし、これまでのお話では、文化が人の睡眠に大きな影響を与えていることがわかりました。睡眠を文化としてとらえる研究はまだあまり進んでいないようですが、本日のフォーラムがその発展のきっかけとなり、多くの人に「よりよい睡眠」を考えていただければと願っています。



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