
2002年3月16日 |
■ 藤原 近年、社会全体が一斉に寝静まるということがないですね。何かがいつの時間も活動しているし、普通の活動時間に誰かが眠っているという、この分裂状態がさらに不眠というものを問題化させていることはまちがいないと思います。もっとゆったりとした時間をつくれなかったということが一番の問題でしょう。その時間を確保するのは、今、やはり寝室という空間しかないと思います。家族の役割の仕事がほとんどアウトソーシングされたときに、残っているのは眠るぐらいしかありません。会社や学校から帰ってきたあと、眠る前のクールダウンをどううまくやっていくかということを、住まい全体を寝室のように考えて、家づくりの中で考えなくてはならないと思います。 |
■ 室伏 現在我々は隣りに人がいると寝られないというように、非常に孤的なるものを目指す傾向にあり、人とコミュニケーションをするのに、直接会うよりは電話の方がしやすいとか、部屋が隔絶されていることもそうです。でも、一方で実は濃密なコミュニケーションも求めています。そういう状況に対して、境界があいまいで、意思が気配で伝わるというような、空間と心理とのペアリングが生きていく場は非常に大事だと思うわけです。 |
■ 高田 部屋の温度や湿度や騒音や光をコントロールすることももちろん大事ですが、もう一枚、人間的な要因というか、安心という要素が非常に大事だということが今日の議論の中で出てきたのではないかと思います。 そろそろ現代の日本の企業というのも行き止まりに来ています。企業でもちょっと昼寝をしながら、あるいは企業の中にもインティメートな関係が生まれるようなスペースが必要なのではないでしょうか。僕は寝室的なスペース、居間的なスペース、 ビジネスの関係と違うしつらいが企業の中に出てくると、家庭にだけインティメートなものを求めるということがなくなり、家庭を運営していくためには、やはりきちんとしたビジネス的な情報のやり取りが、 特に夫婦間には必要なことがわかってくるのではないかと思います。そうなってくると、日本の非常に融通むげで、そのときその場でいろいろな目的のために使えるようにしつらえられてきた空間が、もう一度新しい意味を持って現代という時代に 蘇るのではないでしょうか。人の気配が感じられるようないろいろな道具や環境があることによって、 我々の暮らしというのはもう少しのんびりとした雰囲気を取り戻せるのではないか、そのスタート地点に現代から未来にかけての眠りのしつらいがあるのかと考えました。 |